研究成果

研究論文(学術雑誌)

ミトコンドリアピルビン酸キャリアは胆管がんにおける上皮間葉転換を調節する

ミトコンドリアピルビン酸キャリアは胆管がんにおける上皮間葉転換を調節する

原題

Mitochondrial pyruvate carrier modulates the epithelial-mesenchymal transition in cholangiocarcinoma.

掲載

Oncology reports

記述言語

英語

著者

Tomofumi Ohashi, Hidetoshi Eguchi, Koichi Kawamoto, Masamitsu Konno, Ayumu Asai, Hugh Colvin, Yuji Ueda, Hirofumi Takaoka, Yoshifumi Iwagami, Daisaku Yamada, Tadafumi Asaoka, Takehiro Noda, Hiroshi Wada, Kunihito Gotoh, Shogo Kobayashi, Jun Koseki, Taroh Satoh, Kazuhiko Ogawa, Yuichiro Doki, Masaki Mori, Hideshi Ishii

DOI

https://doi.org/10.3892/or.2017.6172

PubMed

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29286150

概要

肝内胆管がん(ICC)は悪性度が高いことで知られ、再発率が高いため、腫瘍を完全に切除しても予後は不良です。がん細胞は正常に分化した細胞と比べて代謝が変化しており、厳しい環境で生き延びることを支えるとともに、この代謝の変化によってさらなる悪性度を獲得します。そのため、がんの代謝に関わる分子は新たな治療標的になりえます。

ミトコンドリアピルビン酸キャリア(MPC)は、ミトコンドリア内膜にある、近年発見されたピルビン酸輸送体です。MPCは2つのサブユニットからなりますが、そのうちMPC1は大腸がんや前立腺がんなどいくつかのがんで予後不良と特異的に関連することが報告されています。しかし、MPC1の臨床的意義を評価した研究は少なく、がんの進行に影響する分子メカニズムもよくわかっていません。本研究は、ICCの悪性度に影響するMPC1の機能を明らかにすることを目的としました。

ICCの臨床検体でMPC1の発現を免疫組織化学で調べ、生存率やさまざまな臨床病理学的指標との相関を評価したところ、MPC1の低発現はICCの予後不良と相関し、腫瘍の浸潤や遠隔転移とも相関していました。これらはいずれも上皮間葉転換(EMT)と密接に関わる現象です。

そこで、胆道がん細胞株を用いて、MPC1遺伝子の発現を変えたときのがん細胞の悪性度への影響を試験管内で調べました。TGF-β処理でEMTを誘導した細胞ではMPC1の発現が低下し、MPC1の発現を抑えるとがん細胞にEMTが誘導され、MPC1を過剰発現させると腫瘍細胞の遊走が抑えられました。これらの結果は、MPC1が一部のがんの新たな治療標的になりうることを示しています。

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