研究成果

研究論文(学術雑誌)

オンコメタボライトD-2-ヒドロキシグルタル酸は直接上皮間葉転換を誘導し、大腸がんの遠隔転移と関連する

オンコメタボライトD-2-ヒドロキシグルタル酸は直接上皮間葉転換を誘導し、大腸がんの遠隔転移と関連する

原題

Oncometabolite D-2-Hydroxyglurate Directly Induces Epithelial-Mesenchymal Transition and is Associated with Distant Metastasis in Colorectal Cancer.

掲載

Scientific reports

記述言語

英語

著者

Hugh Colvin, Naohiro Nishida, Masamitsu Konno, Naotsugu Haraguchi, Hidekazu Takahashi, Junichi Nishimura, Taishi Hata, Koichi Kawamoto, Ayumu Asai, Kenta Tsunekuni, Jun Koseki, Tsunekazu Mizushima, Taroh Satoh, Yuichiro Doki, Masaki Mori, Hideshi Ishii

DOI

https://doi.org/10.1038/srep36289

PubMed

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27824159

PubMed Central

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5099755

概要

代謝の異常はがんの特徴の一つで、病気の進行を駆動する大きな役割を果たしています。その一例が、白血病や脳腫瘍の一部に見られる変異型のイソクエン酸脱水素酵素(IDH)がつくるオンコメタボライト(がん代謝物)、D-2-ヒドロキシグルタル酸(D-2HG)による発がんの誘導です。D-2HGの発がん性は、Jumonjiファミリーのヒストン脱メチル化酵素を含むα-ケトグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼの活性を妨げる働きに由来すると考えられています。

本研究では、大腸がん細胞ではIDH変異がなくても、グルタミンによる補充反応を通じてD-2HGとその鏡像異性体L-2HGの量が増えていることを見いだしました。L-2HGではなくD-2HGが、上皮間葉転換(EMT)のマスター制御因子であるZEB1のプロモーター領域のヒストンH3リシン4のトリメチル化を高め、ZEB1遺伝子の発現を増やして、大腸がん細胞に直接EMTを誘導しました。

EMTはがん細胞が周囲の組織に浸潤して血流に入る能力を高め、遠隔臓器への転移につながります。大腸がんの検体、とくに遠隔転移を伴う検体ではD-2HGの量が増えており、試験管内の結果を裏付けるとともに、この病気の主な死因である転移にD-2HGが寄与していることを示唆しています。

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