研究成果

研究論文(学術雑誌)

線虫(C. elegans)を用いた嗅覚試験による早期膵がんのスクリーニング

線虫(C. elegans)を用いた嗅覚試験による早期膵がんのスクリーニング

原題

Scent test using Caenorhabditis elegans to screen for early-stage pancreatic cancer.

掲載

Oncotarget

記述言語

英語

著者

Ayumu Asai, Masamitsu Konno, Miyuki Ozaki, Koichi Kawamoto, Ryota Chijimatsu, Nobuaki Kondo, Takaaki Hirotsu, Hideshi Ishii

DOI

https://doi.org/10.18632/oncotarget.28035

PubMed

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/34434497

PubMed Central

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8378769

概要

膵がん患者の予後を改善するには早期発見・早期診断が欠かせませんが、いずれもまだ実現していません。膵がん以外のがんでは、線虫(Caenorhabditis elegans)を含む動物や微生物を用いた嗅覚試験によるスクリーニングがすでに行われています。この方法は膵がんの予後を大きく改善する可能性がありますが、早期膵がん患者から適切な検体を集めることが難しいため、これまで研究は行われていませんでした。

本研究では、全国のハイボリュームセンターからなる研究グループを組織し、ごく早期(ステージ0またはIA)の膵がん患者を集めました。まず83例(ステージ0〜IV)を対象としたオープンラベル試験を行い、ステージ0〜IAで手術による切除の前後に有意な差が見られました(10倍希釈:p < 0.001、100倍希釈:p < 0.001)。

続いて、ごく早期の膵がん患者と健常ボランティアを比較する28例(ステージ0またはIAの患者11例、健常ボランティア17例)の盲検試験を行い、線虫ががんのにおいを検知して早期膵がんを診断できるかを調べました。膵がん患者では、術前の尿検体の走化性指数が術後の検体に比べて有意に高く(10倍希釈:p < 0.001、ROC曲線下面積(AUC)= 0.845、100倍希釈:p < 0.001、AUC = 0.820)、健常ボランティアとの比較でも差が見られました(10倍希釈:p = 0.034、100倍希釈:p = 0.088)。

さらに、術前と術後の走化性指数の変化を用いると、この方法は既存の診断マーカーよりも高い感度で早期膵がんを検出できました。線虫を用いたがんの早期診断は、近い将来の臨床応用が十分に期待できます。

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