原題 | Non-degradable autophagic vacuoles are indispensable for cell competition. |
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掲載 | Cell reports |
記述言語 | 英語 |
著者 | Eilma Akter, Yukihiro Tasaki, Yusuke Mori, Kazuki Nakai, Kazuki Hachiya, Hancheng Lin, Masamitsu Konno, Tomoko Kamasaki, Kenji Tanabe, Yumi Umeda, Shotaro Yamano, Yasuyuki Fujita, Shunsuke Kon |
DOI | |
PubMed |
概要
細胞競合は、不要な細胞が組織から排除されるプロセスである。頂端押し出し(アピカルエクストルージョン)は、正常な上皮細胞が形質転換細胞を排除する一つのメカニズムであるが、このプロセスがどのように機械的に制御されているのかは明らかになっていない。本研究では、RasV12に形質転換された細胞が正常細胞に囲まれると、リソソーム機能不全によりオートファジーおよびエンドサイトーシスの流れが低下することを示した。さらに、リソソーム活性を化学的に操作すると頂端押し出しが損なわれることが分かった。
加えて、オートファジーの開始機構を欠損したRasV12細胞は、正常細胞による排除圧に対して抵抗性を示すことが判明し、分解されないオートファジー小胞が細胞競合に必要であることが示唆された。さらに、in vivo(生体内)解析により、オートファジーを欠損したRasV12細胞は細胞競合による排除を受けにくく、残存した形質転換細胞が導管の構造を破壊し、慢性膵炎を引き起こすことが明らかになった。
これらの結果から、オートファジーは細胞競合において積極的な役割を果たし、形質転換細胞の出現時に組織の恒常性を維持する機能を持つことが明らかになった。